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2011/11/24 (Thu) 猫をおくる、柔らかな午後。

猫が死にました。

あんなに動物屋敷のようだったうちの実家は、あれよあれよと逝ってしまい、あっという間に静かになってしまいました。

「私は看取る役割なんやと思うんよね」と、母がお客さんか誰かに話しているのが聞こえてきたとき、ん…と考えてしまいました。
 確かに母は看取る役割にあるかのような人で、私の記憶にある限りいつも誰かに寄り添い、看取ってきました。

 うお座。
12星座の一番最後。
生の一番最後に位置する星座に生まれた母は、岸にいて、旅立っていく人のお世話をするのが役割のように思うことも…。


 犬のサトルが死んだ時、近くの公営の焼き場に連れて行ったのですが、それがあまりにもだったので、
口に出して文句を言ったりしないけれど、仕方ないとぐっとこらえていたけれど、そんなふうに事務的に遺体を扱われたサトルがあわれで心残りがずっとありました。

 今回は、だから、ペットの葬儀をしてくれる会社にお願いすることにしました。

 犬山の山の方。入鹿池のほとり。
背の高さほどの草がおおい茂る道をひたすら走ったところにそれはあります。
その建物はお世辞にも立派とは言えないけれど、入口にはたくさんの犬が元気に吠え、建物の中は手書きのいろいろが楽しげに壁に貼ってあり。

 人のよさそうなおじさんが、黒の礼服に白の手袋をして丁寧に迎えてくれました。

 地下に猫のカナちゃんを連れて行き、祭壇の上に寝かせます。
ここは特定の宗教ではなく、なので何かお経を読むわけにはいかないのでというようなことを説明され、
一緒に手だけ合わせさせていただきますね。と。

 そして、とってもとっても優しい声で
「カナちゃん、今までアリガトウ。いっぱいいっぱい思い出をくれたね。・・・」と、遺体に手を合わせて語りかけてくれました。
もうそれだけで、このおじさんはとってもとっても動物が好きなんだなぁということが心から伝わってきて、とってもうれしくなりました。

 では40分程お待ちください。お飲み物などご用意してますので。
といい、私たちがそちらに向かい始めると、
車に何かとりに行ったと思ったら、ビニール袋を持って渡してくれました。
「これ、ご飯時ですし、お腹がすいちゃうといけないので良かったらどうぞ」と。
中を見ると菓子パンが3個。
おじさんのお昼ご飯じゃなかったのかなぁ。と恐縮したのだけれど、いいからいいからと。

     111117_1159~01


テーブルにはいろんな飲み物、そして、トランジスタラジオでAMがつけられていました。
窓から温かい日の光がさんさんと差し込んでいて、外を見ると犬たちが元気に走り回っている。

     111117_1159~03

     111117_1159~02


不意におじさんが、ミニチュアダックスを抱いてやってきて、
「この子をここで遊ばせてもいいですか? 出してくれってうるさいので」と。

この子を始め、外で元気に鳴いたり走ったりしている子達はみんな、ちょっと預かってくれと言ってひき取りに来なくなった子や、飼い主が亡くなって飼えなくなったからと家族がもってきた子だったり。
または飼っていた夫婦が離婚して、犬を残して二人ともマンションを出てしまい、異変に気づいた隣の人が見に行ったら餓死寸前の犬がグルグルと部屋の中を歩き回っていたとか。栄養不足で平衡感覚がとれなくなり、今でもまっすぐ歩くことができないそうです。

そんな子たちを、憤りと愛情を持ってここでたくさん世話をしているのだそうです。

山の奥。池のほとりの草に埋もれたこの建物で。誰も知らないそんな場所があるのです。

     111117_1200~01



焼かれて灰になったカナちゃん、おじさんがすべての骨を丁寧に説明してくれて、全ての骨を骨あげさせてくれました。


この仕事は定年してから始めた。と、チラリと言っていたので、こういうお仕事だったんですかと聞くと、「いえいえ全然」と。
何やらの部品を作る会社で定年まで勤め上げたそのおじさんは、単身赴任も多かったので自分抜きで雰囲気が出来上がっている家族からいまいちはじきとばされているような寂しさを感じることも多かったのだとか。
それでも、飼っていた犬だけは全身で喜んで迎えてくれたし、それにとっても助けられたって。
その犬が亡くなった時、私たちと同じように公営の焼き場の対応があまりにもさみしいものだったのでいろいろ調べているうちに、残りの人生はそのお世話になった犬への恩返しに費やそうと思ったのだそうです。
年金ももらっているし、儲けということはあまり考えていませんと。



世の中には、目立たなくても心があって素晴らしい仕事をしている人がいるのです。

しつこいようですが、こんな人里離れた池のほとりの草に埋もれたこの場所で。



サトルの時と同じように、その帰り道は実家近くの大好きなオーガニックカフェで食事しました。
玄米リゾット。温かくておいしかった。

     111117_1424~01

     111117_1424~02


ジャズのライヴもよくやっているそのお店ではその日もジャズがかかっていました。

窓のスクリーンに映る影。

神に通じるような、穢れのない美しい光に憧れもするけれど、
血や肉やさまざまのものを内包する肉体を持って、傷ついたりあきらめたり、私たちはそんな存在なのでした。
36℃の手に負えない肉体から慰めるように奏でられる優しい音。それがジャズの音。
そして、スクリーンに映る影のような、チラリと胸を打つ弱くて透き通る光。と影。

     111117_1425~01


生きているから仕方ないのだ。

そんなあきらめで息がふっとつけたような、そんな時間をくれました。


そのカフェの、すっかり顔なじみの美しい奥様にご案内していただいて、フジ子へミングのソロに行けることになったのも、
思いがけないプレゼントでした。







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