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2010/12/31 (Fri) 蠕虫舞手 アンネリダ・タンツェーリン

 今年も終わりですね。

 そういえばいろんな人からこのブログのタイトル「蠕虫硝花」ってなんなのって聞かれていたんでした。

 視界の端にきらりと光る何かを感じて
 ふと眼をやると、水たまりにフラフラ揺れるボウフラ(蠕虫)がいる
 誰もが素通りしていくその水たまりには、宝石みたいな深い深い宇宙がある


 ある詩に出会った遠い昔、その日から私の名前は蠕虫硝花。
 そんな風に生きていきたい。

 今年の終わりに私のその大好きな詩をご紹介しようかな

 今年出会ったすべての瞬間に、感謝をこめて・・・

101206_2158~01
                   陶 平野照子作「彼の居場所」




   宮澤賢治 「春と修羅 第一集」より


        蠕虫舞手アンネリダ・タンツェーリン  (1922年5月20日)   

 
(えゝ 水ゾルですよ
   おぼろな寒天アガアの液ですよ)
 日は黄金キンの薔薇
 赤い小さな蠕虫ゼンチュウが
 水とひかりをからだにまとひ
 ひとりでおどりをやってゐる
  (えゝ 8エイト γガンマ eイー 6スィックス αアルファ
   ことにもアラベスクの飾り文字)
 羽むしの死骸
 いちゐのかれ葉
 真珠の泡に
 ちぎれたこけの花軸など
  (ナチラナトラのひいさまは
   いまみづ底のみかげのうへに
   黄いろなかげとおふたりで
   せっかくおどってゐられます
   いゝえ けれども すぐでせう
   まもなく浮いておいででせう)
 赤い蠕虫舞手アンネリダ・タンツェーリンは
 とがった二つの耳をもち
 燐光珊瑚の環節に
 正しく飾る真珠のぼたん
 くるりくるりと廻ってゐます
  (えゝ 8エイト γガンマ eイー 6スィックス αアルファ
   ことにもアラベスクの飾り文字)
 背中きらきら燦カガヤいて
 ちからいっぱいまはりはするが
 真珠もじつはまがひもの
 ガラスどころか空気だま
  (いゝえ それでも
   エイト ガムマア イー スイックス アルファ
   ことにもアラベスクの飾り文字)
 水晶体や鞏膜キョウマクの
 オペラグラスにのぞかれて
 おどってゐるといはれても
 真珠の泡を苦にするのなら
 おまへもさっぱりらくじゃない
    それに日が雲に入ったし
    わたしは石に座ってしびれが切れたし
    水底の黒い木片は毛虫か海鼠ナマコのやうだしさ
    それに第一おまへのかたちは見えないし
    ほんとに溶けてしまったのやら
 それともみんなはじめから
 おぼろに青い夢だやら
  (いゝえ あすこにおいでです おいでです
   ひいさま いらっしゃいます
   8エイト γガンマ eイー 6スィックス αアルファ
   ことにもアラベスクの飾り文字)
 ふん 水はおぼろで
 ひかりは惑ひ
 虫は エイト ガムマア イー スイックス アルファ
    ことにもアラベスクの飾り文字かい
    ハッハッハ
  (はい まったくそれにちがひません
   エイト ガムマア イー スイックス アルファ
   ことにもアラベスクの飾り文字)」

 

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2010/12/29 (Wed) 病院という水槽

病院という場所
そこはまるで水槽の中

私は日に何度も窓の外に目をやります

例えば通りすがりだったり。
聞こえているかは分からない患者さんに話しかけながらだったり
ゆっくりゆっくりボタンをかけるのを待ちながらだったり


島にいた時、窓の外はいつも眩しくて。
さとうきびが揺れて、海が光って、風車がゆっくり回っていました。

ここでは雪。
山も林も街も雪。


静かな静かな水槽の中
体の自由を失い、声を失った人達の時間の流れる場所。

その音はサラサラなのか、激しいものなのか…。

隣りに座って一緒にじっと八ヶ岳を眺める午後。

その音はどんな音なんだろう。

私には分からない。


TVもPCも、
世界の何と騒々しいこと。
あらゆる場所で大きな声を張り上げて、まるで才能を発揮しなければ生きてる意味がないとばかりに。
…ここ最近の私自身も…

真のアートとは何か。だなんて、一体何のことだろう。


ここでは生きているということがあるだけ。
小さな家族の愛と、移りゆく山の姿を眺めながら。



そこには圧倒的な静寂の中に、目を奪われ、心を奪われる程の何かがあると感じるのです。

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2010/12/28 (Tue) ゆくりりっくとA.Z.U.M.I..N.O JUG BAND

クリスマスの日、松本で大きな試みが行われました。
まつもと市民芸術館メインホールで行われた、ゆくりりっくコンサートです。

 以下そのお知らせ文

==== 『ゆくりりっく』のクリスマス・ホールコンサート開催! ====

地球宿でこの夏パワープレイしていた『ゆくりりっく』のCD『ことだまがゆく』。 ゲストのみなさんはあの曲と歌声を忘れていないでしょう。 そのゆくりりっくがクリスマスに1800人の大ホールでライブをやります。 あづみのジャグバンドや信州スパイラルクワイア(仲間たちのゴスペルチーム)などの安曇野の仲間たちもゲスト出演。 きっと素敵なクリスマスになること間違いなし! 地球宿でのお泊りとセットで聞きに来てください。 
 日時:12月25日(土)開場pm1時、開演pm2時~ 場所:まつもと市民芸術会館大ホール 

                       安曇野地球宿 ブログより


 
 安曇野は、地球宿の望さん。おぐらやま農場。シャロムヒュッテ。(できれば私たち養生園ももっとかかわっていきたいところ…)などなど、農的暮らしを求めて外からやってきた彼らを中心に、土地の人たちも巻き込んでいろんな仲間で楽しくつながっていこうという熱い空気のあるところです。

 この挑戦、ぜひ見ておきたいと、養生園のルミちゃんと出かけてきました。

 1800人のホールはほぼ満席。
たくさんの子供たちがサンタさんの格好をしてチケットのもぎりや会場案内に張り切っています。

 ゆくりりっくコンサート。
とってもとっても率直なコンサートでした。
サブタイトルにもつけられている「きみにありがとう」という言葉。
そして、会場パンフに載せられている言葉

 彼女は白血病で余命宣告を受け、この信州にやってきて、最後に信じた自然療法で昨年完治に至ったという経歴の持ち主です。

 素朴ではかなげな少女を想像していたら、ステージに現れたのは髪も服もメイクも、キラキラピッカピカ。ニコニコしたふまちゃんという子に、のけぞって驚きました。

     101225_1427~02
                                *撮影タイムがありました*

 楽しそうにのびやかに、本当にうれしそうに歌を歌い、丁寧に挨拶をして、バンドメンバーや共演してくれるお友達を大事に紹介してくれる彼女は、きれいとか何とかを超えて、光り輝いていました。
 男性のバンドメンバーや共演者たちの真ん中に立ってこちらをしっかりと見ている彼女の姿を見ていたら、そのキラキラも相まってか、「観音様みたいだなあ」と思いました。

 岡本かの子の夫、一平は、かの子のことを観音様だったか菩薩様だったかと呼んで手を合わせていたとか。
「岡本かの子ってこんな感じだったんじゃないかな」
 女性の究極の輝きって、こんな風に崇拝したくなるのかもしれないですね。
 
 ゆくりりっくのお友達として、A.Z.U.M.I.N.O.JUG BANDが出演していました。
このバンド、安曇野の農家さんだったり、イラストレーターだったり、宿をやっていたり、上記した安曇野の仲間で作っているバンドで、総勢、この日は20人くらいいたかな。ギターやサックスはもとより、なべや洗濯板やピアニカや・・・それぞれが何でも音の出るものを持って大集結です。

 その迫力たるや・・・。

普段の、つなぎや作業着や割烹着のままで、 
もうみんな音を合わせて歌うことが楽しくて楽しくてたまらないといった、最高の笑顔。
なぜだかわからないけれど胸がいっぱいになって、涙が出てきてしまいました。

 率直なありがとうという気持ち、そして歌を届けたいという気持ち、
かっこ悪いくらいにまっすぐな気持ちは、びっくりするほど心を揺さぶるものですね。

 なんだか満たされてかき乱されて、幸せなようなさびしいような、とにかく揺さぶられまくって会場を後にしました。


 この日は、一足先に養生園を出てタイでヨガの勉強に行っていた、養生園森キッチンのルミちゃんとの久しぶりのお出かけでした。
cuttina にし村で、ランチ。
     101225_1143~01


 コンサートの後はラボラトリオでお茶をしました。
     101225_1725~01


 松本はやっぱり落ち着いた素敵なお店がいっぱいで大好き。

 タイでヨガ三昧して頭を丸めて帰ってきたルミちゃん。
彼女ほど周りのすべての人に全身全霊の愛を傾ける人はいないかも。
そんな「彼女のお料理で人の助けになりたい」という気持ちの強さ。
おいしいなんてもちろんのこと、その深い深い精神性をお料理で表現していこうとしている彼女のこれからに、敬意と期待を最大限に持って、これからもお付き合いしていきたいデス。

 そんなルミちゃんの冬の予定。

  1/16(日) 松本・ラボラトリオのマルシェにて、スイーツの出展
LaboratorioHP  http://www.ifuji.net/laboindex.htm
blog   http://laboratorio.blog.so-net.ne.jp
 
日時未定  長野・イタリアン「こまつや」にて、お料理教室
こまつや  http://www.komatu-ya.com
blog http://komatsuya.naganoblog.jp/
  詳細はそれぞれのサイトにてチェックしてみてください。
ぜひぜひ皆さん遊びに行ってみてくださいね。
  

 
 



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2010/12/23 (Thu) 私ノカワイイ小サナ場所

 お部屋お部屋お部屋・・・

 小さな6畳の寮の部屋だけど、3年間想い続けた私だけのお部屋がやっと手に入りました。

 養生園の暮らしは本当に楽しかったけれど、私は自分のプライベートなお部屋というものがなかったので、やっぱりじりじりしてしまっていたのです。

 大好きなものに囲まれていたい。
 大好きな器で食事がしたい。

 私は結局物がすきなのです。

 お部屋のある暮らしは本当にすばらしい。(皆さんに力こめて語るまでもないことですが…)
お部屋が手に入ったとたん、本でも読もうかなとか、語学の勉強でもしようかなとか、急に勉強意欲がわいてきたし、もうただただお部屋のものをうっとり眺めているだけで何時間も過ごせてしまう。

 養生園に行く前に部屋を引き払ったときのまま、3年間もダンボールに入っていたものを丁寧に出して、やっと再会できたうれしさ。
 いろんな思い出の詰まったお気に入りばかりです。

 少しご紹介。

 昔大好きなお友達がお誕生日に作ってくれた、la droguerieのビーズのモチーフ
     
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 いくら見ていても見飽きないキリムのラグ
     101223_0851~01


 インドで瀕死になりながら、買い物に付き合っていったお店で見つけた薄いふわふわのショール
 そして手編みのマフラー
 桂子さんに連れて行ってもらった小淵沢のギャラリーで買ったショール
     101223_0851~02


 学生時代にホームステイしていたカリフォルニアで買った、メキシコの変な顔
     101223_0852~01


 初めての自由な旅は、ラマンを観て憧れまくっていたベトナム。
ホーチミンで買った美しいタバコケース。
     101223_0855~01


 大好きなキリムのクッションの横には熊のぬいぐるみ。
熊は、昔名古屋の地下を妹と歩いていたときに「わ、かわいい」と一言言ったのを覚えていた妹が、その後何かの折にサプライズでプレゼントしてくれたもの。
     101223_0902~01


 物を持たない気持ちよさもあるかもしれないけれど、私は自分のお部屋は大好きなものに囲まれていたい。
だって・・・寂しがりやですから。







 

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2010/12/23 (Thu) 茅野の休日

 茅野での仕事が始まって初めての休日です。
本当は昨夜から上田にお友達を訪ねるはずだったのに、なぞのひどい頭痛でダウンしており、予定をキャンセルしてひたすら寝ていました。

 朝。
 
 すごい霧。

 ぼんやり外を見るでもなく見ないでもなく、コーヒーを飲みながら午前8時。
午前10時、霧が晴れてきました。
寒い寒い空気に冷やされた建物という建物が、差し込んだ太陽に温められてもうもうと湯気を立ち上らせています。
     101223_0922~01


 頭痛はまだとれない。
温泉にでも行こうかな。

 空はすっかり晴れ渡っていて、どこもかしこもまぶしく照らされています。

 このあたりには私と同じ苗字の人がたくさんたくさんいるのだそうです。
おじいちゃんの患者さんが話してくれたところによると、キリシタン弾圧の時代に九州から逃げに逃げてこんな山奥にやってきた人たちの末裔なのだとか。
 私は茅野とは何のゆかりもないのだけれど、私の父方の祖父は佐賀の出で、そのために私の本籍は佐賀になっています。
 さらに、母方はこの苗字とは関係ないですが、曾祖母が熱心なクリスチャンで、そのため祖父をはじめ親戚がわりと洗礼を受けたりしています。

 血の縁があるのかしら。
そう思うとこの土地に来たのもなんだか必然のような感じがして、ほっとしてしまう。

 さらにこのあたりには「神」とつく地名が多い。病院を出てすぐのところは「神之原」少し行った川には「神橋」という橋が架かっていたり…。

 昔に逃げに逃げてきたクリスチャンの人たちが、この土地に神をみたのかしら。

 大変なところにきてしまった。
そう思うとどこを見渡してもなんだか神々しく美しい空気が流れているような気さえしてしまう。
だって実際ぐるりどの方向も、山はとんでもなく美しいのだもの。

 ぶらぶら歩いてやってきたのは望岳の湯。

      101223_1159~01

     101223_1201~02
  (いい天気。空が窓に映ってる)

これがまたものすごく望岳でして。
すばらしい温泉でした。
(寮はシャワーしか浴びれないし、これから時々ここに来よう。)

 休憩所で天丼をいただきました。
ここがもう、これ以上ないってくらいのくつろぎスペースでして、足の踏み場もないくらい老人がごろごろと横たわっていたりお弁当を広げたりしています。(床暖が本当に気持ちいいのです。)
     101223_1243~01

ここで老人向けの?NHKの漫才を見て、老人と一緒になってけらけら笑って、またぶらぶらとお部屋に帰ってきたのでした。
     101223_1315~01


 上田のお友達には申し訳なかったけれど、ここしばらくあちこち行ってばたばたしていたし、ひさしぶりにゆっくりゆっくり、山や茅野の景色をじっと眺めながら静かな休日を過ごしました。

 きっとなにやら深いご縁のあるであろうこの美しい土地。

 歩いているだけで喜びがこみ上げてきて、「ずっと長野で生きていきたい」「毎日山が眺められたなら…」とつぶやいておりました。

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2010/12/20 (Mon) 帰るとこなど

東京に行っていました。
たった丸二日だけの強行スケジュールの中、たくさんの人に会いました。

会いたい人は本当に本当にたくさんいるのです。
本当に本当に。
でも会いきれないね。涙。
(今回は日程が短いこともありあまりみんなに知らせておらず、用があった人とタイミングが合った人に限られちゃいました。

以前はもっと無理矢理していたのだけれど、最近はちょっとゆったりめに。会った人と「のんびりしたね」と思えるくらいの感じで、自分が疲れきらないように一人の時間も作りつつな感じで、ちょっと上手になってきたみたい。

だからとっても充実していて、楽しい二日間でした。

今回会ったお友達。浅草のガラス作家の子。タイやラオスの布でお洋服を作っている子。大学で学生のカウンセリングをしている子。アートのキュレーターの卵の子。先進的なレゲエバンドの人たち、そして思いがけず10年前に一緒に働いていたフレンチ出身の料理人の子にも。

みんな東京という場所で自分の役割を生きている人たちでした。自分の能力を人のために出していくのに、東京という場所にあるものを吸収して、人と関わって、東京という場所で出して行く。それが必然。

同様に、長野の山に暮らす人たちも、その能力を高めて発揮して行くために、この土地にあるものを吸収して、この土地の人と関わって、この土地で力を出して行くことが必然。
違う人種のようで、どちらもとてものびのびといい顔で生きている人達です。

そしてもちろん違う土地から影響を受け合って。

果たして私は?
私は一体どんな人間なのでしょうねぇ。

たくさんの思い出の詰まった街や店を歩いて、さらに私の過去のいろんな場面にいた人と短い時間に次々会ううちに、何だか考え込んでしまいました。

いろんなところでいろんなことをしているうちに、何をして来た人なのか訳が分からなくなった感が無きにしも非ず。
結局過去はいろいろすぎるから、今とこれからを見てもらうしかないということね。

お友達に今回「その経験の幅の広さはものすごい武器だよ」と言ってもらったけれど、そんなものかしらね。
まあとにかく、いろんな世界を見たいという気持ちが強いのでしょうね。
その進んで行く上での動機やテーマはハッキリしているような、でも自分でも分からないような。
みんなそうだろうけどね。

今回お友達とたくさん会った

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2010/12/18 (Sat) 江国香織「東京タワー」

 いまさらですが、うっかり江国香織さんの「東京タワー」を読みました。

 実は江国さんは勝手な先入観で苦手意識があって、ずっと読むのを避けてきた作家さんです。
映画「東京タワー」も、ずいぶん前に観たことがあるのですが、特に印象に残らず。
(というか、映画終盤、詩文が東京タワーを探して街を駆け回るシーン。やっとみつけた坂の上に大きく見える東京タワー。クライマックスのその瞬間、ぶっと思わずむせそうに。「ここじゃん!」と。それはまさに当時住んでいたおうちの前。「いやここからは東京タワーは見えないし、合成かな」とか「黒木瞳いつ来たんだろう」とか。一気に現実に引き戻されて、そのインパクトしか残っていないのです。)

 そんなこんなな東京タワー。
改めて読んでみて「こんな小説だったのか」とずいぶんな驚き。いい意味で。

 次の日も余韻覚めやらず、DVDを借りてきてみてしまいました。
そして「こんな映画だったのか」とこちらも驚き。(クライマックスはやっぱりうちの前でした。懐かしい。)

 原作と映画は別物というのは当たり前のことなので、そのことについてあれこれ言うつもりはないのですが、小説の登場人物がしなかったことで映画ではしていること。そのことで小説の人物のパーソナリティが変化していて、小説のことを思ったときに、その人物像がやより浮かび上がりやすくなったように思います。

 たとえば、透はあんなふうに感情を荒げたり殴りあったりはしないし、詩文はあんな惨めな姿をさらしたり、恋人を追ってパリまで行ったりしない。
 
 何でしないのか。

 なんていうか、小説の中の彼らは、自分のことも周囲のことも分かっているような分かっていないような。でも概ね現実にフィットしたそれを気に入っていて、満足して暮らしている。でも誰かを思う気持ちはまったく不可解なところからやってきたもので、その小さな爆発物みたいなものを「どおするかなあ」なんて思いながらボールみたいに手の中でポンポン持て余している。そんな感じ。

 だからきっと映画みたいな修羅場には絶対ならないだろうし、それがだから最初見たときの違和感につながったのだと思います。

 でも、恋というのはやっぱり、そんな良心や優しさや臆病心のなかで転がしながらも、もしも思いっきりやっていたらどうだろうかと常に思ってしまう厄介なものであるのも事実で。
 (たとえば恋人の夫を殴ったり、すべてを捨ててパリに追ってみたり…)
 そんな「もしも」を見せてくれるカタルシスというのが映画にはあるわけで、ファンタジーというのか何というのか。
 そういう意味で、小説を踏まえた上でのファンタジー映画という位置づけという感じで思ったらいい気がします。
 
 でもあの映画は見終わった後「恋っていいな」って思えなかった。むしろ「恋するって醜いな」と思ってしまいました。
 なり振り構わなず醜い姿をさらすのが恋の醍醐味なのかな。う~ん。

 小説にはなかったけれど映画では「人妻はいいよ。彼女達は楽しみに飢えているから」というせりふがありました。
 実際、詩文も喜美子も、耐えられないほどの孤独感を恋という名に変えて全力でぶつけているように見えて、それがたぶんいい気分になれなかったのでしょう。
 (黒木瞳も寺島しのぶも本当にうまかった。その表情が今も心に張り付いてしまっています。)

 「20歳も年下の恋に翻弄されるセレブ妻=本当は寂しくて不幸」
としてしまうステレオタイプはどうなのでしょうね。そういう図式を見て安心する人たちがいるということなのでしょうか。それともそれをぶち壊す、これまたカタルシスが求められているということなのか・・・。ヒットする映画というのはきっといろんな要素が受け入れられているのでしょうし…。ストレスフルな世の中ですね。

 私は小説の中の彼女達からはまったくそんな印象を受けませんでした。
みな私達同様にある面幸せで、ある面幸せとはいえなくて。

 「恋というのはするものじゃなく落ちるものだと思う。」
という文そのままに、分かっていたはずの日常の中にカタリと落ちてきたもの。恋とはただそれだけのもの。
 ただそれだけの小さな小さな心のありようを、江国さんは丁寧に描いた本当に力のある作家さんだと、しみじみ圧倒されてしまいました。
 平和な私は映画「東京タワー」より、江国香織「東京タワー」が好きですね。

 う~ん、しばらくは江国香織マイブームが起こりそうです。

 

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2010/12/13 (Mon) ノスタルジック 東山植物園

 地元に帰っています。
地元のお友達からお誘い「植物園に行かない?最近レナードの朝を見てから行きたくって」と。

 私も最近、仲良しの80近くのジェントルマンと、東京夢の島熱帯植物園についてうっとり話していたところ。
一も二もなくオッケイしました。

 東山植物園は大好き。
いつも想像以上の規模に驚かされ、珍しい植物に本当に心躍るのです。

 子供ころから通っていて、それからも一人で来たり、妹と来たり、デートで来たり。
動物園や池のボート、古いノスタルジックな空気は、いろんな思い出を感傷とともに思い出させるのです。

 今日は大好きな地元のお友達と、新潟から来た養生園のお友達(京都で合流して、予定になかったのだけれどそのまま名古屋に遊びに来てくれたのです。)
 3人あった瞬間から意気投合。笑いまくって突っ込みまくって、大笑いしながらの一日でした。
 
 古い古い温室。
時々がたがたと大げさな音を響かせてファンが回ります。
むっとした熱気。
そして外とは別世界のワールド。まさにワールド。
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 ここの植物は本当に元気でした。


 いままで動物園と同じ理由で植物園というのもどうなのだろう…という気持ちがありました。
その植物にあわない土地で、人工的にその環境を作り出し、植物を飼いならしているみたいで…。

 でもこの熱帯植物館の植物からはそういう後ろめたさをまったく感じなかった。
みんなかわいがられて、愛されているのびのびとした印象を受けました。

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 珍しい熱帯の植物の形は本当に楽しい。

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 水生植物の部屋。
ここに入って匂い?なのかな。ものすごく懐かしい何かの気配を感じました。
そしてプレートのタコノキというネームを見て納得。奄美諸島の植物を集めてあるようでした。
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 去年の冬を過ごした喜界島。
 ひとことでは言い表せないけれど、海と植物と、人間なんかよりも大きな大きな力を持ったそれらのそばでひっそりと暮らしていたような私たち、圧倒的な島。
 美しかったな。
 ああ、喜界島に行きたいな。水筒積んで自転車に乗って、海やジャングルや、湖やサトウキビ畑や、いろんなところをのんびりまわった日々が懐かしい。
 喜界島へはなかなか行けないけれど、せめてここに来よう。

 
 スカイタワーから見下ろした、ミニチュアの街。
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 もう一度、この街と向き合う時が来たのかな。そんなタイミングも感じています。





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2010/12/13 (Mon) 京都紀行

 京都に行きました。

 大原の宝泉院というところで行われた真砂秀朗さんのライブに行くためです。
 
 京都に帰る養生園のお友達と荷物を車に乗せて、楽しい楽しい車の旅でした。

 名古屋から初めての新名神に乗って、何と1時間半で京都についてしまいました。
びっくり。
 そして途中で寄った土山SAのハイテクなこと!二人してすっかり大興奮。

 京都市内に入って、まずは下鴨にあるdidiでお茶をします。
didiは養生園ワークショップでお世話になったベニシア・スタンリー・スミスさんのご主人のやっているお店です。
 一緒に行った京都のお友達は偶然昔からよく来ていたお店なんだそうです。
 通りを行く人を眺めながら、「私たち、こういうのが足りてなかったね」ってご満悦。
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 ここのアップルクランブルケーキは絶品と聞き、勢い込んで注文。
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 大きくて、温かくて、シロップでずぶずぶに浸っていて、酸っぱいリンゴとシナモンと、何クリームかよくわからなかったけれど美味しいクリームがかかっていて本当においしかった。
 まさに私の好みの条件を7個も8個も満たした素晴らしいケーキでした。

 休憩した後は一路大原へ。

 日が暮れて真っ暗な山道をくねくね進みます。
車を降りるとしんしんと寒さが身に突き刺さります。
街とは空気が違う。
星がすごい。

 大原、宝泉院。

 大蛇がうねりながら屋根の上に登っていっているような、400年の松の大木がお庭からはみ出しています。
ライトに照らされた幽玄の世界。

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 ネイティブフルートとジャンべとアコースティックギターの合わさった音が静かに静かにはじまりました。
まるで音に合わさるかのように、真砂さんの後ろの竹がざわざわとゆれています。
 
 「わ」という曲がありました。
世界はまるい。さまざまなわでできているという、真砂さんのお話の後に始まったその曲は、とってもとっても美しい曲でした。
 私の名前は輪という字を使います。
父が、輪を大切にするようにとつけてくれたのです。
 ああ、養生園を終えて、素敵なご褒美をとしてこのライブに父がいざなってくれたのだなあ。
「わ」という曲を聴きながらそんな風に思って涙がジワリと出てきました。

 養生園以外の場所でも、目に見えない大切な物を大切にしながら気持ちよくつながっている人たちがいる。
きっと養生園を出たこれからの私もきっと大丈夫だろう。そんな風におもって心がほっと安心しました。

 
次の日は、お友達のバイトしていたいた町家のイタリアンでお食事して、墓まいりして、恵文社であまりの素敵さに鼻血出しそうになって…そしてもちろん土山SAにまた寄って…。

満足満足すべての瞬間がスペシャルに満たされた、ご褒美旅行でした。
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 平井さん皆様、ありがとう!

京都。とっても素敵な旅でした。

 
 
 

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2010/12/13 (Mon) 髪を切る

 長く長くのばした髪を切りました。

 長い髪が好きで、全然切る気なんてなかったのに。

 4年間伸ばした髪です。

 4・5年前インドに行って入院して、帰ってきてベリーショートにしました。
半年間体調が戻らず、痩せてアレルギーがいっぱい出てきて、
プライベートも大きな変化がいっぱいあって、
そしてアロマと出会って新しい自分の居場所を求めて必死になって…。

 その間ずっと伸ばしてきた髪です。

 養生園を終えて、その日々に一区切り。
新しい日々を紡いでいくには一度いままでのものを切り去りたかった。

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 久しぶりに短い髪になった私。


 こうなるとワンピースや短いスカートをはきたくなります。
ギルバートグレイプのジュリエットルイスの感じが好きなのです。
いままで山にいて着られなかったきれいな服やコートやブーツも履くぞ!

 山暮らししていても、足るを知る何もない生活のできる人間にはなれなかったな。
でも、しっかり質の良いものを身の回りに置いていきたいと思うようになってきました。

 これからの日々が本当に楽しみ。

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2010/12/10 (Fri) 卒業。まるでおとなの学校でした。

 3年を過ごした穂高養生園を、今日、出発しました。

 受け取れないほどいっぱいの煌めき、そして優しさ。

 穂高から見るアルプス。
朝に夕に毎日視界の端に入ってくるのに、毎回その圧倒的な美しさに息をのむ。
そして…溜息。

 人。養生園のみんなも同じでした。
とっても素敵な言葉や楽しいことをもらって心が動く。そして次の瞬間には違う子からも…。
毎日顔を合わせているのに。人がいて心が満たされる感じが波のようにやってくる。

 連続する一瞬一瞬が、そんなものだけで成り立っている、そんな3年間でした。

 世界は美しくって、人からもたらされる何かはとっても心にしみる大きなもので、
こんなにも生きてることがうれしいと思った日々が今までにあったかな。



 大切なものが多すぎて持ち切れない。
精根尽き果てた私が持ってる荷物を全部降ろさざるを得なくなって。
自分で決めたはずなのに、その作業はあまりにもあまりにも、予想外の身を切られるような辛さを伴い…。
「…もう疲れちゃったな…」歩いていても、お風呂に入っていても、仕事の移動中でも、その言葉を無意識に呟いていた、そんなあの頃。

 とにかく奇跡みたいな素敵なことが起きるために!
とがむしゃらになっていたあの頃。
 ウォーキングで本能が目覚めると本で読めば鬼のようにウォーキングをしまくり、また家じゅうを掃除しまくったり、不安を打ち消すように「私の未来は明るいんだ」と人に力説しまくったり…。(大げさではた迷惑な私に付き合ってくれたみんなに感謝してマス)

 馬鹿みたい健気に「幸せ」ってものを追いまくっていたあの頃の私に、神様は最高の休息場所と、自分の自信を回復するステージとをくれました。
その名も「養生園」で。

 
     アリガトウ

    
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 世の中にこんな場所があることを知ったことで、私の世の中に対する先入観ががらりと上書きされました。

 これから出あうであろう、まだ知らない何かがみんな、まぶしい輝きに満ちたものであるならば、
前に進むことは何とも素敵なことですね。

 たくさんの感謝を込めて。



 
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2010/12/06 (Mon) dakota suite+ vampillia ライヴ

 dakota suite のライヴに行ってきました。

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松本中町通り。古い蔵の立ち並ぶ中にある、サロン群青。
もういつ雪が降ってもおかしくない、12月の松本です。

 dakotaは寒い街がよく似合う。
曇る窓ガラスや、白い息や、冷たい頬や…。
ほの青く光る雪の並木道や、さっきまでいたお店の温かな灯りや笑い声を思い出す感じや…。

 「たった今雪の中を歩いてきました」といった風に、彼らは軽い感じで談笑した後、ゆっくりそれは始まりました。

 さっきまで後ろを向いて話していたピアノの彼が、いざまっすぐにに向きなおって鍵盤に手を置いたとき、すっと気配が変わりました。
 音を鳴らす前から「ああ、この人のピアノはきっとすごいな」と思わせるその感じ。
サポートメンバーっていうのでも、バンドの鍵盤担当っていうのでも、もうそんなレベルじゃないな。

 その音はやっぱりすごかった。
どんなメロディーかなって耳を澄ませて音をたどるまでもなく、耳なんかはるかに通り越して、全身の深いところにダイレクトに入ってくるその感じ。
 quentin sirjacqさんというのだそうです。

 これは…ピアニストだ。もうとにかくその音にびっくりした。

 そこにchris hoosonの静かな悲しみの世界がかぶさってきて、もう何と言ったらいいのか、悲しく美しく、キラキラ輝いている、雪の世界。
 想いを抱えて外に出てみたなら、青い雪の夜で、表面がキラキラしていた。
そんな感じ。

 chrisのヴォーカルはどこまでも生身の人間のもので、quentinのピアノはそれに寄り添うもののようなふりをして、その実この世のものではない。そんな世界を感じました。

 quentin sirjacqのアルバムを思わず買って帰ってしまったけれど、ソロも素晴らしかった。




 ちなみにこのライヴ、タイバンの組み方もかなり面白くってよかったです。
4バンド共通しているようで、油断していると全然違う世界に連れていかれる。
4時間近くたっぷり楽しめてものすごくお腹いっぱい、満たされました。

 特に、共演に連なっているvampillia。(なぜこの二つが組んであるのか全くナゾな感じです…)大阪のバンドのようですが、衝撃的に良かった。耽美でイカレテいて、ものすごく私の好みです。いいバンド見つけちゃったなあ。
 田代まさしも出演しているPVも最高に良かった。
 
 

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2010/12/02 (Thu) キッチン

 私がこの世で一番好きな場所は台所だと思う・・・。

 から始まるのは小説「キッチン」でしたか。

 自室が完全プライベートではない私にとって、ここで唯一スタッフという立場でいなくてもいい空間はスタッフキッチン(略してすたK)。
 
 穴倉のようなこの空間が大好き。

 みんなにとってもそうだよね。

 好きにいろんな人がやってきては好きに過ごして散っていく。

 自由に作りたいものを作れる喜び。
 それを喜んで食べてくれる人がいる喜び
 誰かのおいしいものを思いがけず受け取れる喜び

 そんな気持ちだけでできている、幸せな幸せな空間です。

 
 実家を出てからずいぶん経ちますが、実はあまり一人暮らしはしてきていない。
妹だったり彼だったり、わりと人と暮らしてきました。

 一人で過ごすのは好きだけれど、夕食を一人でとるのが嫌。
 おいしいものを作ったときに、それを味わうのが自分だけというのが嫌。 

 養生園のスタk。

 私にとって本当に幸せな空間でした。

 何気ない今朝の時間を、こうして思い出に綴っておきたい。



「オハヨー」

「ぁ、パンあるんだ。そっか強力買ってきたからね~」
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「Sちゃんの蒸しパンもあるんだよ」
「ユズだ。Sちゃんらしい味だね」
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「昨日の夕食のデザートもあるよ、ワケワケして食べよ」
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「ハーブティさっき入れたのあるけど…ぁ、入れ直さないと無理かも」
「あ、いいよいいよ自分でやるから」
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「これもどおぞ、Kちゃんの餞別ケーキ」
「いいの?」
「うん、私胃腸がいまいちであんまり食べられなくって…」
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「ねえ、このさぁ小豆島のYちゃんの手土産のオリーブ食べた?」
「食べた。すごいよね、フレッシュさが。びっくりした」
「お酒飲みたくなっちゃった」
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「(かぼちゃ…きれいだなあ…)」
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 ありがとう、わすれない。



 

 

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